まち歩き、お店めぐり、お宿めぐりの週末
偶数月の第一土曜日・日曜日に湯河原温泉場にて湯探歩(ゆたんぽ)を開催しています。
温泉場の旅館、店舗が特別の企画をご用意し、皆さまをお待ちしています。
川のせせらぎが心地よい温泉場の散歩とお店めぐり、お宿めぐりをお楽しみください。
*毎回、開催の約1ヶ月前に、出店内容を記載したフライヤーを公開しています。下記の「詳細はこちらをご覧ください」をクリックしてください。
【湯河原温泉場の「ゆたんぽ」の話】
昔、布団の中の足下に置いて暖を取るのに利用した「湯たんぽ」は、室町時代に中国から日本に伝わり、江戸・元禄年間に広まりました。「たんぽ」は漢字で「湯婆」と書き、「婆」は中国で母や妻を意味し、冬の寒さを凌ぐため母や妻の温もりの代わりに湯を入れた容器「お湯の母/妻」を寝床に入れたということです。
時は変わって明治30年頃の湯河原温泉場。
湯治客が自宅での湯治に用いるため一升瓶や酒樽に温泉を詰めて持ち帰るのを見た岩本権太郎氏(後に岩本旅館創設)が「温泉懐中湯たんぽ」を考案しました。直径10cm、厚さ2.5cmの金属製の円筒状容器に温泉を詰めて「はんだ」で密閉したもので、使用するときは、容器を熱湯に入れて温めてから木綿布袋に入れて暖をとる仕組みです。一度温めるとなかなか冷めないと評判になり、容器が小さいため今日のカイロのように外出や作業するときも重宝し、一人で10個、20個と買って帰るお客様もいたとか。懐中湯たんぽは飛ぶように売れ、昭和15年頃まで製造・販売されました。
歴史と伝統を誇る湯河原温泉ですが、実は、湯治客の「土産物」という視点からみると、明治半ばになってもこれといったものはなく、この懐中湯たんぽが「湯河原温泉の土産物」として大量に売れた初めての商品となりました。(その後、きび餅、棒羊羹、楠細工などの土産物が次々生まれました。)
古くから「傷の湯」と称えられた湯河原温泉水を入れた懐中湯たんぽ。当時「温めれば何回でも使えます。たとえ湯たんぽで火傷をしても、中身の温泉で治療できます。」が宣伝文句だったとか笑。
懐中湯たんぽが生まれてから125年。コロナ禍の陰鬱から抜け出し、歩いて楽しい温泉場にしたいと願う地域有志の連携により生み出された新しい「湯探歩(ゆたんぽ)」は、温泉場の散歩を楽しみながら旅館や店舗ならではのおもてなしを味わうことができる時間となりました。
湯探歩を通して、明治の懐中湯たんぽに負けない湯河原人の温かさを感じていただけたら幸いです。
参考文献:
「―ある湯河原温泉史― 湯河原温泉懐中湯たんぽ」大山正雄, 温泉化学71, 186-199(2021)
「湯河原温泉懐中湯たんぽ」大山正雄(日本温泉協会)
「湯河原温泉 土産物あれこれ」伊藤公洋, 湯河原温泉観光協会発行(1988)
基本情報
住所 | 神奈川県足柄下郡湯河原温泉場 |
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アクセス |
【バス】 JR湯河原駅より 奥湯河原行バス または 不動滝行バス に乗車 「見附町」バス停から「源泉郷」バス停の間のエリア(乗車時間 約10分〜20分) |
開催期間 | 偶数月の第一土曜日・日曜日 |
開催場所 | 湯河原温泉場 |
お問い合わせ先 | 癒し場へ(湯河原温泉まちづくり会社)office@landscape-p.com |